[悲劇] ブログ村キーワード
読者の皆様、いつもご愛読ありがとうございます。
今回で最終回となる「あるクライアントとの会話」シリーズです。
お楽しみください。
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この記事は、
このグループ「脳障害を負ったクライアント」
http://beautyscience.jugem.jp/?cid=58
でシリーズとして書き溜めているものです。
後の記事を見てご興味を持っていただいた方は、
グループの記事を初めから読んでいただけましたらと
思います。
※ブログなので順番が通常と逆です
(最新記事が先に出てきます)
ご了承ください。
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さて、彼と彼女は自分たちの絶望的とも思われる未来を
どう考え、何を選択したのでしょうか。
その答えはその翌年に出ていました。
実はあの後Aさんは、リハビリを地域の障がい者福祉
施設で行うようになったということで、私は心理的な
ヘルプは一旦お休みということになったのです。
そして自宅に戻ったAさんから再び、最近の様子を見に
来て欲しいということで、呼ばれていきました。
呼ばれた場所はご両親の家でした。
そうです。Aさんはご両親の住む実家に戻っていったの
です。
ということは、彼とは別れたのでしょうか。
少なくとも一緒に住んではいないということになります。
身体は半身不随を抱えたままでしたから、たしかに
不自由そうではありましたが、器用に動きまわるように
なっていました。
そして話を伺いますと、彼とはまだ続いているとの
ことでした。
Aさんと彼、ご両親も含めて話し合った末、彼の
お母さんのこともあるので、負担をかけるわけには
いかないから、ご両親の居る実家に戻り、交際は
続けるということになっていました。
結婚についてはどうなったのでしょうか。
なんと
それは、
未だに決まってませんでした(笑)
というよりも、先を見据えて辛く悲しい選択をすること
に本当に意味があるのかどうかを考えた末、行ける
ところまで行ってみようという二人と取り巻く家族達の
新しいチャレンジが始まっていたのです。
私はこのことにとても勇気づけられました。
将来を考えるなら、ここで別れておこうなんていう話は
世の中にいくらでもあります。
でも彼女を取り巻く全員に訪れた交通事故という厳しい
現実は、そのまま別れたとしても、誰を幸福にして
くれるものでもありませんでした。
悔いを残して、別の選択をするよりは、難しいかも
しれないチャレンジをできるところまでやってみよう
という途中だったのです。
そこには複雑な現実を抱えつつも、逃げること無く
現実と向き合って生きている素晴らしい人達の姿が
ありました。
選択はお決まりのいくつかの中から選ばなければなら
ないわけではないわけですね。
これらの出来事は、その後の私にとって、とても大きな
意味を持ちました。
それは人が人とどう関係するのかによって、治療効果
も大きく違えば、二つの家族というコミュニティの
未来も大きく変わる、そういう現実を見せてもらった
事実だったのです。
20代前半だった私には、随分と衝撃を受け続けた現実
でした。
私はその後も重病、難病、死を待つ人など、厳しい現実
を持つ人々の心理療法をし続けてまいりましたが、
このことに代表されるように、人を生かすも殺すも、
それは人なのだと思っています。
人は人と生きています。
その後に僕は心理学を専門的に学びますが、古典的な
個人の心理を研究する心理学よりも、人と人の関係性を
重視するコミュニケーション理論を基礎とした
ブリーフセラピーに興味を持ったのは、このことが
あったからだと思っています。
人が人とどう生きるのか、きっと人類が始まった頃から
存在する課題だったと思います。
そしてそれはこれからも消えることのない課題です。
このことが解決されたとき、殆どの問題は解決しますし、
多くの欲しい未来が待っています。
世界の人々が、コミュニケーションの新しい次元を
手に入れていくこと、それを支援するのが僕の役目
だと思っています。
得た経験、知識、能力は誰かの為に…
ですね。
無駄に長いシリーズとなりましたが(笑)、ここまで
関心を持って、この話題を読み続けてくださった皆様、
ご愛読ありがとうございました。