いつもご愛読ありがとうございます。
今日は自分という存在の扱い方を、短期療法
(ブリーフセラピー)の基礎である解決志向の
でどう扱うのかについて、実際の個人面接記録から
お伝えしたいと思います。
ある若い男性の話です。
彼は定職についてはいません。
実家ぐらしで、アルバイトをしながら家にはお金を
入れることなく、食事は両親が食べさせてくれる
という生活をしていました。
両親も今まで「彼が定職につくまでは…」という責任感
から無理にお金を入れろとは言い難かったのでしょう。
しかし、大学を卒業し、何年経っても定職に
就かない彼を、段々見ては居られなくなってきたの
かもしれません。
ついに思いが爆発して、息子を咎め始めました。
「お前、親に食わせてもらうながら、一体何やって
るんだ!早くどこか安定した企業の正社員になれ!」
と。
しかし彼はどうしても両親が言うような安定した
企業に勤める気にはなれませんでした。
私はその理由を彼に聞いてみました。
彼曰く…
「僕はどうも世の中を斜に構えて見てしまうんです」
自分はニヒリスト(虚無主義者)だと言うのです。
この世の中の普通のシステムがどうも良い物には
思えないと言うのです。
しかしその言葉を言う彼に私は違和感がありました。
言っている姿が申し訳無さそうな、自信なさそうな
様子なのです。
彼の言っていることが、僕には素晴らしいことを
言っているように思えました。
だって社会に新しいものを生み出してきた人であれば、
皆が持っている感覚なんですから。
彼にそのニヒリストであることについて、自分ではどう
思っているのかを尋ねると、やはり、
「こういう自分ではダメだ」という評価をしていました。
だからそんな暗い様子で言ったんでしょうね。
そして私はある提案をしました。
「その思いを実現させる方向で共に考えませんか?」と
彼はちょっと不思議そうな顔をしました。
ニヒリズムを実現させるというのは意味がわから
なかったのかもしれません。
そして更に詳しく、社会の普通のシステムに問題を
感じるからこそ、本当に価値ある社会づくりを
始めるために、懸命に生きてみませんかという
提案でした。
「私はそれをサポートします」と…
彼はちょっと武者震い的な様子を見せた後、
「やってみます!」
と力強く言っていました。
その後は、実際に彼を咎めている両親との実際の
会話についてのアドバイスに入りました。
解決志向では、それが例えネガティブに思えて
しまう特徴であっても、普段良く考えていることは
自分にとって大きな資源(リソース)だと捉えます。
自分の中でどうも納得いかないことがあるとすれば、
それは貴方の人生を輝かせる原石かもしれません。
これは心理学で言うところの「リフレーミング」とも
言える手法です。
自分の特徴や生き方について悩むことがあるなら、
この話を自分のこととしてみたなら、どうなるだろうか
と、是非とも実際の人生に取り入れてみていただきたい
と思います。
今回は少し長くなりましたね。
いつもご愛読ありがとうございます。
P.S.
最初の写真の方は、ニーチェです。
ニヒリズムの代表的な方ですね。